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Vol.4 特定健診受診の有無がこんな差に!?

がん検診とは?

前回の記事では、
毎年の特定健診で身体全体の総点検、定期的ながん検診で個別の部位の精密点検、この2つの組み合わせが大切ということについてご紹介しました。

今日は、そんな身体全体の総点検である特定健診の特徴と効果について実感していただこうと思います。

特定健診とは?(復習)

耳にタコができるぐらいの繰り返しになりますが、
「特定健診」は、生活習慣病の予防のために、40~74歳の方を対象に実施しているメタボリックシンドロームに着目した健診(健康診断)です。

国保の方だけでなく、全国健康保険協会(協会けんぽ)や健康保険組合、共済組合などの被用者保険に加入の方やその扶養に入っている方も特定健診を受けることができます。
(協会けんぽでは、一部検査項目を追加するなどの拡充を行い「生活習慣病予防健診」として実施しています。)
また、75歳以上の後期高齢者医療の方には、後期高齢者健診として同様の健診が実施されています。

加入されている社会保険(医療保険)制度によって細かな違いはありますが、個人で健康診断を受けるより、特定健診を受ければ、お得に健康診断を受けることができます。

生活習慣病の重症化を防ぐ

「生活習慣病」といった場合、どの病気を含めるのかというのは時と場合によって異なりますが、
がん、循環器疾患(高血圧症、脳卒中など)、糖尿病などの病気のことをいいます。
これらの病気は、将来の重篤な健康障害につながる可能性が高いため、早期発見と早期治療が重要となります。

特定健診受診の有無がこんな差に!?

今回は、生活習慣病の一種である脳血管疾患について掘り下げてみたいと思います。

「令和4年人口動態統計の概況」によると、
がん、心疾患、老衰に次いで、日本の死因の上位を占める脳血管疾患。

日本全体の死亡率(人口10万人あたりの死亡者数)は、88.1。
鳥取県の死亡率は、106.3。
鳥取県、全国の死亡率より、2割も多いとは・・・・・・・

脳血管疾患とは、脳の血管のトラブルから引き起こされる脳細胞の障害の総称で、
そのうち麻痺や意識消失、言語障害などを引き起こす、くも膜下出血、脳出血、脳梗塞を脳卒中と総称しています。

健康・医療データ分析センターでは、鳥取県の脳卒中患者の過去の特定健診受診状況を調査しました。

すると、なんと脳卒中にかかった人の6割が、過去5年間に特定健診を一度も受けていないことがわかりました。

脳卒中の発作は、突然にやってくることが多いといわれます。
しかし、脳卒中の原因となりうる動脈硬化を引き起こす高血圧や糖尿病は、特定健診で事前に早期発見、早期治療を行うことができます。

それが、この分析結果につながっていると思われます。

今回紹介した脳卒中は、発症後にも麻痺などの後遺症が残る可能性がある病気です。
健康でのびのびとした生活を送るためには、毎年の特定健診で、しっかり予防したいものですね。

令和5年5月に令和6年度からの健康日本21(第3次)が策定されました。
この中では、「生活習慣病(NCDs)」の発症予防、重症化予防に引き続き取り組んでいくこととされています。
「NCDs(非感染性疾患)」とは、WHO(世界保健機関)が、不健康な食事や運動不足、喫煙、過度な飲酒、大気汚染などにより引き起こされる、がん、糖尿病、循環器疾患、呼吸器疾患などの慢性疾患の総称として定義しています。これまでは、日本独自の「生活習慣病」という用語が多く使われてきましたが、今後は、「NCDs(非感染性疾患)」という世界標準の言葉が使われていくようになるのかもしれません。
なお、皆さんもよく目にする「SDGs(持続可能な開発目標)」でも、目標3「すべての人に健康と福祉を」のターゲット34として、「2030年までに、NCDsによる若年死亡率を、予防や治療を通じて1/3減少させ、精神保健及び福祉を促進する」と定められています。


<データ詳細>

出典 出典 鳥取県版国民健康保険医療費分析報告書
(鳥取県国民健康保険団体連合会 健康医療データ分析センター)

鳥取県内の国保の加入者のうち、脳卒中に罹患した患者の過去5年間(平成27年度~令和元年度)の特定健診受診状況を調査しました。入院患者は長期の入院などにより特定健診の受診対象者ではない場合があるため、外来患者に限定した調査としています。

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